お金はライフスタイル

前回は私達が「お金」に対して、いかに感情的に左右されるかについてお話しました。

お金のことは考えたくない、お金に煩わされたくない、という気持ちも、それによって自分の感情が乱されるのを知っているからです。

お金は本来、物々交換を簡便におこなう道具です。
それに感情的に振り回されていたのでは、本末転倒です。
しかし、便利な道具としての正しい使い方を身につければ、あなたの人生は随分と自由なものになります。

単にお金を沢山持っていることが経済的な豊かさではありません。

自分の人生を豊かにするための道具の一つとして、お金を管理する方法を覚え、自分がお金の使用人になることが、本当の経済的な豊かさであり、自由なのです。

●　なぜ大事なのか？

私達はだれしもお金と無縁の暮らしはできません。

お金が私達の暮らしを支えているのです。

当たり前のことですが、これはとても大事な点です。

あなたが手に入れられる生活は、あなたが手に入れられるお金によって決まってしまうのです。

お金のことで、なぜ感情的になってしまうのか？の原因もここにあります。

それは、お金によって自分の生活が脅かされたり、自分の生活の限界が、それによってはっきりしてしまうからです。

自分の生活が行き詰るとか、自分が手に入れられる生活レベルという現実を突きつけられるのは、誰にとっても精神的に耐えられるものではありませんよね。

精神的な生活はお金では手に入らない、と言う人もいますが、日々の生活のために必死になっていては、精神的な充足を生む時間を作ることもできません。

私達の生活や人生はお金の影響から逃れることはできない。

この現実を認識し、お金を自分のために働かせると決意する。

まず、この点を克服しないと、次のステップに行くことはできません。

（お金の量が幸せに比例すると言っているのではありませんよ。自分がお金のために働くのか、お金を便利な道具として自分のために働かせるのか、ということが大事なのです）



●　現状を把握する

目標を達成する方法は、どの世界でもおなじです。

目標を明確にする。現状を把握する。目標と現状のギャップを埋める。

この３つのステップを着実にたどる以外に方法はありません。

本当は目標を決めることが最も重要なんですが、せっかく立てた目標と現状の差が、あまりにも大きくては、目標自体が無意味になってしまいますので、まずは、現状の把握からはじめることにしましょう。

自分の経済的な状況を把握している人は、驚くほど少ないのが現実です

毎月の収入で借金もなく、クレジットカードの引き落としも行われ、少々の貯金もできているから問題ない、という人がほとんどではないでしょうか？

中にはクレジットカードのリボ払いや、ノンバンクローンなどの高金利の借入金があるにもかかわらず、問題ないと考えている人もいるようです。

これでは自分の生活や将来の計画に向けて一歩を踏み出すことはできませんし、不足の事態が起きたら、現在の生活すら破綻しかねません。

現状を把握することの目的は、自分がなにによってどれだけの収入を得ていて、何に対して支払いを行っているか？を知り、そこから収支の改善の可能性を探り、経済的な持久力と発展性を強化することです

自分は経済的に堅牢で将来性のある人生を送るんだ、という決意を持って取り組み、お金について考える不快さに負けないように頑張ってください。



●　具体的な項目

お金の基本は「入るを図り、出るを制す」です。

まずは収入についてチェックしましょう。

あなたは何によって、どれだけの収入を得ていますか？

給料、ボーナス、株式配当、家賃収入、著作権などの権利収入、趣味の活動を通じて得られる収入、中にはパチンコや競馬などでの収入がある人もいるかもしれません。

これらすべてを書き出してください。

次に支出です。

食費、光熱費、新聞代、通信費といった生活費。子供の教育費、旅行や外食などの遊興費、自家用車の維持費やガソリン代、税金や社会保障費、ローン、保険、いろいろな会員費、賃貸物件の維持管理のお金、株の購入費用や損失、パチンコや競馬で負けたお金（笑）など。

こちらもすべての支出を書き出します。

去年の収支を全て把握していれば問題ないのですが、そうでなければ、まずは来月から始めてみましょう。

といっても、まず95％の人は、この段階でつまづきます。

この割合は、世の中の、経済的に健全で豊かな人生を送れる人の割合そのものですね。



●　収支はライフスタイル

頑張ってひと月の収支をつけたら、支出の欄をじっくりと眺めてみましょう。収入は簡単に変えられませんが、支出はすぐに変えることができますからね。

それぞれの項目を見て、どんな気持ちがしますか？
支払ったお金に対して、十分な満足が得られているでしょうか？
お金を支払った分の幸福感を感じていますか？

あなたの支出は、あなたの現実のライフスタイルを映し出す鏡です。

支出の中に、満足に値しない空しい支出がおおければ、あなたのライフスタイルも空しいものでしょう。
つきあいだから仕方が無い、世間体があるから仕方が無い、という気持ちもあるかもしれませんが、その支出がもたらすものは、「この程度でも仕方がない」という人生です。

働いて得たお金は、あなたの時間と労働の対価です。
お金を「仕方ないもの」に使うということは、あなたの時間と労働を、「仕方ないもの」に使っているということです。

絶対に自分の時間と労働を「仕方ないもの」には使わないと決意しましょう。

もし、ストレスの多い生活をしていて、お金を使うことでストレスを解消しているならば、お金に関係なく得られる楽しみを増やすことを考えましょう。

世の中にはお金をかけて得られる楽しみと、お金に関係なく得られる楽しみの両方があることは、みなさんご存知ですね。
多くの場合、お金に関係なく得られる楽しみのほうが、深い充足感を与えてくれるものです。

それをもっと積極的に活用できないか、考えて見ましょう。

お金を得るためにストレスの高い仕事をして、そのストレスを解消するために沢山のお金を使っているのは、出口のないいたちごっこで、それを続けていれば、あなた自身が磨り減ってしまいます。
もう少し別のライフスタイルはありませんか？


もう一度、いいます。

あなたのお金の使い方は、あなたのライフスタイルを映し出す鏡です。

鏡に映った自分の姿は、均整がとれていますか？
あなたが思っていたとおりですか？
それを見て、美しく健やかだと感じますか？


次回は、あなたのライフスタイルを表す、もうひとつの側面。
収入についてお話します。