ＦＸで日本は滅亡？

前回までとはうってかわって、　今回から、ちょっと為替について考えてみたいと思います。

「なにを急に？」と思われるかもしれませんが、中国をはじめとしたエマージング諸国の台頭、ドルの凋落、いぜんとして高止まりしている円。

グローバル金融時代に、為替の基礎を知らないでは、世界の経済、ひいては今後の動向を推測できません。
もちろん、人生を楽しく過ごすには常に先を読み、先手先手と対策を打つ必要がありますので、世界経済の流れの重要な指標である、為替のことを無視するわけにはいきません。

キューバの方々から、いろいろと考えさせられる話をうかがってきましたが、資本主義自由経済の日本で、楽しく生きていくためには、また彼らとは違った知識と思考が必要です。

理想を胸に、知識を頭に、活力を身体に、それぞれのバランスを取って、したたかに生きていきましょう！

とは言っても、私は為替はもちろん、経済の専門家ではありませんので、専門的な解説ではなく、みなさんの耳にも馴染みのある、為替証拠金取引いわゆるＦＸを例にとって考えてみたいと思います。
（けっして「FXサイコー！大儲けだぜ」と言う話しじゃありません。むしろ逆かも。。。。）

拙文を読んで、「それは違うよ」とお気づきの方がおられましたら、どんどん御指摘くださいませ。



●普通の主婦が数億円の脱税？

主婦でも気軽に何億円もの脱税ができると人気の為替証拠金取引、いわゆ
るFXですが・・。

別に、脱税で国が潰れるとか、マネーゲームに奔走して勤労意欲がなくな
り、日本が滅びるとか、そんな話じゃありません。

為替FXが、どーにも理解できないので、いろいろ勉強してたら、こりゃ日
本は滅びるんじゃない？って話になっちゃったんでげっそり

詳しい人がいたら、「お前、ぜんぜんわかっちゃねーよ！」と突っ込みを
入れてください。

基本・その１　為替FXとは？

FXは最大で３００倍くらいのレバレッジをかけることができるので、計算
を簡単にするために１ドル１００円とすれば、３３万円で１億円を借りて
１００万ドルに両替して、年利５％の米預金にすると、１００万ドルの仮
想借金から、５万ドル（５００万円）の現実の利子を得ることができる。
つまり、この状態を維持できれば３３万円で一生、生活費には困らなくな
る。


●基本・その２　為替FXとは？その２

その１で円を売ってドルを買った（ドル預金を作った）一年後に、ドルが
１２０円の円安ドル高になっていれば、１００万ドルは１２０００万円の
価値になっているから、その時点で売れば、月々５００万の利息とは別に
２０００万の儲けになる（税や手数料は考えないとする）

もちろん２０円の円高ドル安になっていれば、２０００万円の損をする。



●基本・その３　そもそも為替がなんで変動するのか？

よく世界の物価指数の例にだされるビッグマックはいくらで買える？とい
う話で考えてみる。

ビッグマックは世界中で同じ値段で売られているとすれば１ドル＝１００円
の時に、アメリカで４ドルのビッグマックは日本で４００円で買えるとする。
（もちろん人件費や家賃などの差があるから、現実には同じ値段にはならない
けど、仮に世界中、どこでも同じ価格で買えるとして考える）

その後、日本でデフレが進んで、ビッグマックが３００円で買えるようにな
ったのに、アメリカでは依然４ドルで売っていたら、同じビッグマックの値段が
場所で違うことになるので、これはおかしい。

だから円の為替レートをあげて（ドルを下げて）１ドルを75円にすれば、日本円
で３００円で売っているビッグマックが米ドルで４ドル（4×75＝300円）で売って
いても良い計算になる。

つまり、

デフレで物価が下がれば為替は上がり
インフレで物価が上がれば為替は下がる。

デフレは物価が下がって、お金の価値が相対的に下がり、インフレはその逆
というのは、こうゆうことだ。
（ビッグマックはどこでも同じ価格、という前提は、デタラメな話ではなく、
現実の貿易裁定取引として行われている）



●基本・その４　そもそもなんで為替が変動するのか？その２

日本はゼロ金利政策で銀行金利はゼロだが、デフレで物価は年２％ダウンし
ている（お金の価値が２％上がっている）。
だから実質は２％の１年金利がついたのと同じ計算になる。

対してアメリカは年５％の金利がつくがインフレで物価は年３％上昇してい
るので、差し引きの実質金利は年２％。

これでバランスが取れている。

しかし、日本の主婦・渡辺さんは、アメリカの名目金利が５％と高いのに気
づき、アメリカの銀行に外貨預金をする。

そうすると、アメリカの銀行金利の５％と日本のデフレによる実質金利２％
の両方を得ることが出来て、実質７％の金利を得られる。

これはおかしな話だ。

手持ちのドルを円に変えたことで、アメリカの銀行は渡辺さんの逆の立場に
なるから、、アメリカのインフレによるー３％と、日本のゼロ金利の両方の
損失だけをかぶり、一方的に損することになってしまうから、こんな取引に
は応じるはずがない。

この金利のアンバランスを解消するためには、渡辺さんが１ドル＝１００円
で預けたドル預金を１年後に日本円に戻す時に、名目金利の５％を割り引い
た円高ドル安レート（１ドル＝９５円）にしましょう、と約束する必要があ
る。

ということで、

名目金利の低い通貨は上昇し、名目金利の高い通貨は下落する。

ということになる。

つまりデフレで超低金利の日本の通貨「円」の為替レートは上昇することに
なる。

しかし、２００７年のサブプライムで米国株式市場が暴落するまで、超低金
利でデフレにもかかわらず、ずっと円安が続いていた。

それを背景にトヨタは過去最高益を上げ、日本の奥さまでもFXで気軽に億単
位の脱税ができたわけだ。

これは上のセオリーからしたら異常現象。不思議ですねぇ。



●基本・その５　為替証拠金取引の「証拠金」とは？

為替FXは、その時点の為替で売り買いするのではなく、将来の為替レートを
予測して、その時点のレートと現時点のレートとの差額で儲けたり損をする
という、大人の博打。

たとえば八百屋が「１ヶ月後に返すから」という約束で胡瓜１本を市場から
借りて、１００円で売ったとする。

１ヶ月後の胡瓜の価格が９０円になっていれば、八百屋は９０円で別の八百
屋から胡瓜を買って市場に返すので１０円の儲け。逆に胡瓜が１１０円にな
ってれば１０円の損。

こーゆー取引を先物取引という。

商品先物が有名だけど、先物で小豆を１トン買っても、その小豆は「仮想」
の小豆だから家には届くことは無い。だからあわてて小豆倉庫を作る必要は
無い。

これを小豆の代わりに通貨でやるのが為替FX。

先物取引は破滅への最短距離、っていわれてるけど、それは先の予測が外れ
るからじゃなくて、証拠金として払ったお金の何倍もの取引ができるから。

１００万しかお金が無い人が、１００万を証拠金にして１０倍の取引
（１０００万）をして、裏目に出たら、それを決算する方法が無いから破産
する。

だからFXは為替「証拠金」取引といわれてる。

証拠金の何倍の取引をするかという倍率をレバレッジといってFXでは３００
倍くらいが可能らしい。

だから先物取引で倍率を１倍にしておけば、損得の上限は１００万だから証
拠金だけで清算できるので、破産することはない。現物を買うのと同じだか
ら、先物取引でも安全。

つまり先物取引が危ないんじゃなくて、倍率が危ないわけだ。

先物取引には良い点もある。

さっき「現物を買うのと同じ」と書いたけど、実施aに小豆の現物を１トン
買って、１ヶ月後に誰かに売ったとする。小豆を１トン家まで運んでもらい
それを買手に収めなきゃならないから、運送料や保管料がかかる。

でも先物取引だったら帳簿上の移動だけなので、そんなコストはかからない。
だから、手数料がかからない分お得なわけ。

これは為替取引でも同じことで、外貨預金に較べると、ＦＸは圧倒的にコス
トが安い。

ここまでは単なる丁半博打の話。
なんで丁半博打かといえば、為替は通貨を売る人と買う人の数と金額でバラ
ンスするから。誰かが買った分だけ、誰かが損をする。

発行数の少ない通貨で、みんながそれを売って買う人がいなければ、その通
貨の価値は無くなる。これが為替レートの究極の姿。

ヘッジファンドに売られまくったタイのバーツが大暴落したアジア通貨危機
は、それが現実に起こった例ですね。

ここまでは、当たり前の話なんですが、これだと「基本・その２」で書いた
１００円で買ったドルが一年後に１２０円になっていれば、２０円分儲かる
っていう、円安ドル高に推移した時（またはその逆）の説明にしかなってい
ない。

「基本１」で書いた「５％金利差」で儲かるって話の説明にはなっていない。

だってFXは先物取引だから、将来の価格変動で損得が出るのは直感的に理解
できるけど、貯金でもないのになんで金利が発生するのかが、わからないじ
ゃないですか？

実は、これこそがFXの謎の核心です。

続きは次号で。。。。。